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雑記

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2016年9月16日 蝋引き

その140

 

蝋引き

 

 桑の碁笥を手に入れました。碁石を入れる器をゴケといいます。仕上げは蝋引きです。

 桑の碁笥ってものすごく高いんですが、中古のいいのをヤッホーしました。古いですからきれいにしなくてはいけません。いろいろ調べてみますと、どうやら仕上げは蝋を使うというところまで分かりましたが、なんの蝋だか分かりません。で、落札したところに聞いてみました。丁寧に教えて頂きましたよ。ほんとはカーワックスなどにも使う、自然の蝋で一番硬いカルナバ蝋というのがいいんだそうですが、素人には難しいということです。でも、オジさん本物を使いたいですから手に入れます。これフレーク状の結晶で、熱で溶かして布に染み込ませナンタラカンタラ…やってみましたがムリそう…。乳化状の木材用というのもありますが…ちょっと違うかな…。親切に…次にいいのはイボタ蝋ですよ…これにしよ。ハマグリ碁石を磨くのに使ったのは粉末でした。固形のものがあります。蝋を引く前に碁笥をきれいにしなくてはいけません。ロクロを引いた跡の薄い筋が残っています。サンドペーパーできれいに磨きます。器の中は手では難しいので、ドリルにサンダーをつけて磨きます。右の器の部分はペーパーを掛けただけの状態です。これに蝋を引いて磨きますと、左の碁笥のように透き通った品のいい艶に仕上がります。ちなみに、カルナバ蝋の融点は82.8℃、イボタ蝋は81.1℃、木蝋は52.6℃だそうです。職人さんは、多分ロクロを回しながら使い込んで蝋が馴染んだ布で拭き上げているんだと思いますが、ロクロのないオジさんはドライヤーを使います。蝋をこすりつけてはドライヤーで熱してメリヤス地で磨きます。最初は平均に蝋は染み込みませんからムラムラです。それを丹念に繰り返しますと、立派な碁笥の完成です。

 きれいな道具も揃ったし、本も大分読んだし…そろそろ誰かと…。