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雑記

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2024年10月16日

愛読書

その334

 

 

 愛読書とは本棚から出してあって、いつでも読めるようにオジさんのすぐそばに置いてある本のことです。

 有名人の方は、この本が自分の生き方の指標になっている、悩んだ時はとりあえずこれを読む、生きる希望をもたらしてくれる、能力を鍛えてくれる、経営上の重大な示唆を与えてくれる……なんて立派な本ばかしです。オジさんはというと、浅田次郎さんのプリズンホテル4巻…別に人生を変えてくれた訳でもなく、夢だの希望だの与えてくれたなんてもんじゃありませんが…素敵な本です。ほんとの心根は、優しく強い任侠さん達が影の主役なんですが、ちょっとひねくれた小説家の物語です。この主人公は、多分に著者の生い立ちをなぞっているようです。東京の下町が素材になっていますが、オジさんも東大は本郷下の根津育ちですから雰囲気がよくわかります。ご近所には、とても礼儀正しい任侠さん達が住んでいる街でした。子供の頃は内風呂なんてお金持ちのお家にしかなかった時代ですから、みんな銭湯に行きます。任侠さん達もいらっしゃいます。本に出てくるような、背中に見事な彫り物をした爺さん達も普通にいました。その筋の人が、カッコイイ仁義を切るような小気味のよい文中には、雰囲気に合った古そな言葉使いがちょこちょこ出てきて、アッこんな漢字使ってたんだ、ヘェ〜こういう読み方するの、イキな言い回しだな…なんてのが気がつかないうちに色々と。も一度戻って確かめたいのですが、早く先に進みたくてそんなことやってられません。文章もおしゃべりもとてもリズムがいいので、あっまた飛ばしちゃった…も一回…何遍も読み返します。何回読んでも笑って泣いて…素敵な本です。

 オジさんの育った根津は任侠さんもたくさん居ましたが、悪ガキにも不自由しません。通っている中学校の廊下でカツアゲやるのにもあきて、近くの高校生を締め上げるなんて猛者も。そんな下町言葉も懐かしいです。当時は皆んな貧乏で、皆んな人情深く大好きな街でした。